今回は、黒川伊保子さんの『妻のトリセツ』、『夫のトリセツ』を参考にしています。夫婦間、パートナー間ですれ違いがあり、悩んでいる人は、本書を読むと何か解決のためのヒントがあるかもしれません。今回は、男性と女性の思考パターンの違いは、歴史を考えると理解できる、と言う話です。
表題の『男性脳と女性脳の違いは〇〇〇〇の違いが原因』の〇の部分には、『生存戦略』が入ります。
男性脳と女性脳（思考パターン）の違い
黒川さんは、自著で『男性脳と女性脳には違いがある』と表現しています。脳の違い（つまり思考パターンの違い）は、何百世代も昔から継承されてきた男女の生存戦略の違いから引き起こされていると説明されています。
総合研究大学院大学長の長谷川眞理子さんによりますと、人類は600万年も狩猟採集生活を送ってきたそうです。その最後の１万年で農耕と牧畜が始まり、最後の100年~150年で産業革命により人類の生活が大きく変わりました。ですから600万年から見たら、最後の一瞬、1秒くらいの期間で今の生活に大きく変化したのです。そのスケールを想像すると、私達は昔からの思考パターンを中々変えることができないのかもしれないと言うことは理解できます。
そしてここ数十年で家族形態の大きな変化も影響していることが考えられます。昔は集落で生活をしていたため、集落の女性同士で子育て知識を共有し合い、共感し、支え合うような生活をしてきたと言うことになります。最近までは２世帯３世帯で生活をするようなことが今よりも多かったでしょうから、子育てを担う女性は身近な同性に支えられ安心して育てることができていたのが多かったのだと思います。しかし今は、核家族化が進み、出産した女性がいつでも側に頼れる同性がいるとは限らず、しかも家庭内で一緒に生活する大人はパートナー（主に男性）だけであるため、男性からして見たら、その話し相手、相談相手の大役を任されたと言うことになります。そのためもともと話を聞き共感したり労ったりするように思考パターンが出来ていない男性にとっては負担であり、女性が求めるような共感をすることが難しいと言うことが想像できました。
男性と女性の思考パターン
男性は遠くを見るようにチューニングされているので、身近なことが見えにくくなっていると言うことを黒川さんは考察されています。例えば乳幼児を世話している女性が側にいても、風景のように皆がしていると言うのです。それはカフェに座って、外を走る車を眺めているようなものと表現しています。黒川さんは、『男性は半径３メートル以内におこっていることに意識が向かない』とも表現していますが、確かに男性と生活をしていると、本当に半径３メートル以内の事は特に雑で興味がないように見えます。だから靴下はそのまま、荷物は置きっぱなし、私がせかせかと動いていてもボーっと携帯を眺めているのかなと言うことが分かりました。
一方、女性は共感することが生き抜くために大切なことだと理解できましたが、パートナーである男性に愚痴を話しても気持ちを分かってくれないことに苛々する女性は多いのではないかと思います。それは、上述したように、生存戦略の違いにより思考パターンが進化していることが大きな理由であることが分かりました。
むすび
今回は、人類の長い歴史と狩猟採集生活スタイルの影響で、男女の思考パターンの違いが生じたことが考えられると言う事を学びました。それを考慮すると、異性に対して、同性に求めるような対応を期待することはかなりハードルが高い事なのかもしれないと感じました。もしかしたら、パートナーに対して求めすぎることも、不仲になってしまう原因でもあるのかなと思いました。
参考にさせていただいた本・サイト
妻のトリセツ（黒川伊保子さん著）
夫のトリセツ（黒川伊保子さん著）
妻のトリセツは漫画版も出版されています。
人類の歴史は600万年の進化史でみれば殆ど狩猟採集時代 | 長谷川眞理子 | テンミニッツTV
それでも「男女の生存戦略」は違う…この時代にあえて性差を語る理由（黒川 伊保子） | ＋αオンライン | 講談社（2/4）
