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子どもの自立のためにかなり役立つ本

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私が児童養護施設で働き始めた頃、子どもがルールを守らなかったり、自分でできることを私に押し付けてくることに悩んでいました。先輩の指摘から、私の関わりが不適切であったことは分かりましたが、具体的にどう改善したら良いのか分からずに困った時期がありました。方法を模索するために、子育て関係の本を30冊購入し学習したことがあります。

その中でも、子どもの自立についてかなり勉強になったのが菅原裕子さんの本です。この本のおかげで、私が子どもに対してきまりを守るように伝えることができたり、子どもが自身のことをきちんとするようになりました。今回から4回に分けて、菅原裕子さんの著書を紹介します。1冊目は『子どもの心のコーチング』です。菅原さんの本を読んでみたいと思われた方は、まずこの本を読むことをお勧めします。

菅原さんは、子どもに関わる大人は、①愛すること、②責任、③人の役に立つ喜びの3つを教えることを提唱しています。今回は、この3つについてを紹介します。

1.愛すること

菅原さんは、自己肯定感を育てるためには、愛情が必要だと言います。菅原さんは、自己肯定感について次のように説明をしています。

自己肯定感とは、自分の存在を肯定する感覚です。自分はここにいるべき人間であり、まわりの人は自分の存在を喜んでいる。自分の存在が家族に幸せをもたらしていて、そんな自分でいることがうれしい。「私は自分が好きだ」という感覚です。この感覚は、私たちが自分として生きていくうえでもっとも基本となるもの。存在することへの自信です。

あなたは辛い時『ここには私の味方はいないけど、私には、私を大切に想ってくれるあの人がいるから大丈夫』、『私の心の中にはいつもあの人がいてくれて、背中を押してくれている』と思ったことはありませんか。私は仕事が上手くいかず怒られっぱなしで辛い時も『この場からいなくなりたい』と思うことはなくなりました。それは、私を大切に育ててくれた母や、辛い時に話を聴いてくれる友達の存在がいると言う安心感が私を支えてくれています。

子どもの身近にいるあなたが、どれ程子どもを大切にするかによって、子どもの自己肯定感が変わります。愛情の伝え方はさまざまですが、私は『あなたが今までしてもらって、心から嬉しかったこと、あなたが大切にされていると感じたこと』を子どもにしていけばよいと考えています。

2.責任

この箇所が、私が子どもとの関わりで一番改善をした箇所です。失敗から学んだ、子どもの自立心を育む方法で紹介しましたが、自分で洗うべき水筒や服を洗わずにギリギリまで溜めてしまう中学生に対し、私はそれを何とかしたいと思い手伝っていました。しかしそのせいで子どもが次第に私に依存し始め、殆ど自分のやるべきことをやらなくなり困りました。菅原さんは、次のように言います。

私たち親は、とかく「今」に焦点をあてがちです。(省略)「今」に焦点をあて、そのとおりになっていないと口を出し、手を出します。そうすることで親は、今の安心と秩序を手に入れるのです。しかし、その一時の安心と秩序に焦点をあてすぎると、子どもの一生から、自主性とそこから生まれる喜びの芽を摘みとってしまうことになります。 (省略)つまり私達大人は、これまで大人が子どもを助けていたことを、助けたい気持ちを我慢し、子ども自身でできることを増やしていく必要があるのです。

明日、明後日の子どもが困るからと大人が手を出してしまうと、子どもは次々と大人に依存するようになることが分かりました。この依存状態は、『親が何とかしてくれる』と言う甘えによるもの。そして、子どもは上手くいかないことがあると、その原因を大人に押し付けるようになり、他人や環境のせいにする人間に育ってしまいます。

菅原さんは、著書の中で、子どもの責任感を育てるために、まず親は子どもを起こさないことから始めるよう勧めています。親が起こさないと決めて関わると、子どもは次第に起きれない原因をあなたに求めず、『遅刻しないようにするにはどうしたら良いか』を必死に考えるようになるのです。子どもにやらせてみて、子どもが感じる『困った』『このままではやばい』『居心地が悪い』状況を作ることで、子どもは自分で考え、何とかする習慣ができ、強い人へと成長していくと言うのです。

3.人の役に立つ喜び

菅原さんによると、子どもががんばったご褒美を与えることに対しては、あまり肯定的ではないようです。

ほめることも叱ることも、物やお金を与えることも、すべて外からの働きかけで、外から子どもをその気にしようとする行為です。本当のやる気は外からはきません。本当のやる気は、子ども自身の中からわいてくるものです。親は子どもが幼いうちに、子どもの中に、子ども自身の中からわき出る、やる気の種をまくことができるのです。そのやる気の種は「人の役に立つ喜び」です。この動機づけの種を植えることで、子どもは一生、健全なやる気を保つことができます。この動機づけで動くとき、私たちは大きな充実感を体験できるのです。

菅原さんは、子どもが手伝ってくれた時は、子どもを「いい子ね」、「えらいぞ」と言うのではなく、子どもが手伝ってくれたことに感謝し、喜ぶことが大切と言います。子どもが動いた時に、親がどう感じたかを気持ちを伝えてほしいと言うのです。私の母は喜ぶ天才だと思っていて、私が子どもの頃、母が仕事から帰ってくる前に部屋を片付けておくと、母が目を輝かせて喜んでくれたのです。私はそれが嬉しくて、子どもの時の趣味が部屋の掃除になる程、休日は3、4時間家の掃除をしていました。『うちの子は何もしてくれない』ではなく、たまにでも良いから自主的に手伝ってくれた時に、それに気づいて喜ぶことが大切だと思います。

 著書の中では、菅原さん一家や様々な家庭の体験談、上述したことを上手く進めるための具体的な方法などが盛りだくさんに紹介されています。私はこの本を5、6回は読み、子どもとの関わりの中で繰り返し使うことで、とっさの子どもの言動にも対応できるようになってきました。子どもに関わる方には、是非お勧めの1冊です。