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夫の関係も子育ても上手くいかなかった『ビリギャル母』が学んだ心構えとは

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本書には『ビリギャル』のお母さんである、ああちゃんが、20年以上も試行錯誤し続けた子育ての心構えが紹介されています。ああちゃんは、夫との関係や子育てに悩む日々を過ごしていましたが、ああちゃんが変わっていくことで、夫との関係が見違える程良くなり、子ども達が幸せになっていきます。私はああちゃんの言動に触れることで、自身の子どもへの接し方についてたくさん考えさせられました。

夫との不仲から学び改善したこと

ビリギャル著者の坪田信貴先生は、次のように言います。

経験上、夫婦仲が悪いご家庭では、子どもが年頃になったときに、グレやすいようなのです。例えば、お母さんが娘に対して、お父さんに関する愚痴を言っているような家庭では、娘が中高生になった頃に、父親に激しく反抗したりしがちです。

あらゆる考え方が正反対のああちゃんと夫は、日々ケンカをしながら暮らしていました。経済制裁をする夫。夫が怒鳴り散らすたびに、次女のまーちゃんがその度にお仏壇の前に行って、家族が仲良くなるよう祈り続ける日々。離婚寸前の状態までなってしまったとも言います。居心地の悪い家庭環境が続く中、ある時ああちゃんは「損得勘定やプライドから行動するのはやめよう、そして、子どもたちのこと以外は、もうどうでもいい」と思い、こだわりを捨てました。そしてああちゃんが楽しそうに振る舞うと、怒りに満ちていた夫も、人が変わったように、怒ることがなくなったと言います。また、次々と問題が浮上している息子を助けるように、夫に頭を下げたのです。それからは話し合いを良くするようになりました。この行動があったからこそ、夫や家庭内の雰囲気が変わったのだとああちゃんは言います。いがみ合っていた時は、部屋が汚いと「この家はゴミ屋敷か!」と怒鳴っていた夫が、「ああちゃんは、とてもいい子なんだけど、片付けが苦手なんだな」と言うようになったそうです。

ああちゃんが、上手くいかないことを夫のせいにする姿勢から、自分にできることは何かを問い続けるような姿勢に変わったことで、夫との関係が劇的に変わったことから、自分が変われば相手も変わることを学びました。

子どもを叱ることから変わった子育ての仕方

子育てへの考え方

若い頃は、試行錯誤のなか、泣きながら幼いわが子を叩いて、悪い子にならないようにと、心のなかで叫んでいました。でも、わからせようとすればするほど、子どもの行動は悪い方向に行き、言うことを全く聞いてくれませんでした。

こんなああちゃんが、学び考える中で、怒りを子どもに出さず、子どもの気持ちを良く聞き、分かるよう、諭すようにしたのです。

子どもの意見を尊重する

小学1年生の時にいじめを受けた長女が、「学校に行きたくない」と言った時には、長女の話をよく聞き、別の学校に行ってみることを提案します。そこで長女が行ってみると言い、そのような事情での転校は難しいと言う学校に対して、必死にお願いをして長女を転校させたのです。そこから長女は、小学校を卒業するまで学校に行きたくないと言うことは一切なく、それまで以上に学校のことや、自身のことを話すようになったと言います。

常にああちゃんは、子どもに決定を委ねるようにしていました。一方で情報を持っている大人として、子どもに対して、適切なアドバイスや情報(進学、留学、習い事)を提供しているのです。また、自分の身を削ってまでも子どもの『やりたい』を全力でおこなう姿。それなのに、子どもがやめたいと言った時は、「そんなに辛いならやめちゃっても良いんだよ」と伝えるのです。子どもを疑わず、真っ直ぐに信じ続けて、子どもを大好きでいられるああちゃんだからこそ、投げかけられた言葉だなと思います。

子どもが家に帰らなくなった時にああちゃんがした行動とは

朝帰りをするようにもなってしまった子どもに対してああちゃんがしたことは、とにかく大切なわが子を心配することでした。

最大の理解者だと思っていたああちゃんにさえ、キツくあたったことがあります。ああちゃんはそれでも、毎日どこに行っているのかわからない私に声をかけ続けました。でも、そうされると、罪悪感で泣きたくなってしまい、もっとキツくあたってしまうのです。ですから、とにかく、そのときは、構わないでほしかった。でも、ああちゃんはあきらめませんでした。私が家から飛び出すと、必ずああちゃんが車で追いかけて来ました。私の横を、車で、ずっと速度を合わせてついて来るのです。「どこに行くの?送って行くから、乗って」と言われても、無視して歩き続けました。それでも、ああちゃんはどこまでもついて来ました。

このように、ああちゃんは娘も息子も心配し続けた結果、子ども達は「自分を大好きでいてくれるああちゃんを心配させたくない」と思ったのか、自宅に返ってくるようになりました。心配の奥にある「あなたのことが大切だから」と言う気持ちが子ども達にも伝わったのだと思います。

私が本書を読んで感じたのは、ああちゃんは、子どもの良いところをずっと忘れずに、子どもに対して誇りを持ち、子どもを肯定し続けるすごい母親だと思いました。私は、施設で生活が乱れている子どもに対して心配をする日々を送っていますが、でもそれよりももっと大切な、子どもの良さや、その子どもしか持っていない素敵なところに目を向けて、大局的な視野に立って子どもと接したいと強く思いました。

本書には、ああちゃんが子ども達に贈った、宝物のような言葉がたくさん詰まっています。私もこんな素敵な大人になって、わくわく、幸せに生きる子どもを増やしたいと思うようになりました。本書は、子育てに悩める方にもそうでない方にも、是非読んでただきたい一冊です。