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大人の不適切な関りによって、子どもの脳が傷つく

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友田明美さん著書の『子どもの脳を傷つける親たち』では、大人の不適切な関りによって、子どもの脳が変形・委縮していくと言う研究結果が述べられています。

著者友田さんの想い

 30年近く小児精神科医として子どもの発達に関する研究を続けてきた友田さん。長年の研究により、大人の不適切な関りが子どもの脳の変形に影響すると言う事実が明らかになってきました。その中で、私達が科学が示す知見を知ることで、子どもへの不適切な関りを抑制することに繋げたいと言う想いを持っています。

なぜ、大人の不適切な関りによって脳は変化をするのか

 本書の中で、不適切な性的行為を受けた被験者は、受けていない被験者よりも、脳の左半球の「視覚野」の容積が八%減少していたと言います。右の視覚野がものの全体像を捉えるのに対し、左の視覚野は、細部を捉える働きをしています。左の視覚野が小さくなっていると言うことは、見たくもない情景の詳細を見ないで済むようにと、無意識下の適応が行われたと考えられるのです。つまり子どもの脳は、変形することにより、ストレスの中を生き残るような仕組みとなっていることが分かります。

最も脳が影響を受けるのは、『言葉による暴力』

 厚生労働省の報告によると、平成28年における、児童相談所での児童虐待相談件数が12万件以上にのぼります。その中で最も件数が多いのは精神的虐待で、その割合は5割以上です。

本書では、友田さんがハーバード大学と共同でおこなった研究結果を紹介しています。

子ども時代にDVを目撃して育った人は、脳の後頭葉にある「視覚野」の一部で、単語の認知や、夢を見ることに関係している「舌状回」という部分の容積が、正常な脳と比べ、平均しておよそ六%小さくなっていると言う結果が出ました。その委縮率を見てみると、身体的なDVを目撃した場合は約三%でしたが、言葉によるDVの場合、二〇%も小さくなっており、実に六~七倍もの影響を示していたのです。つまり、身体的な暴力を目撃した場合よりも、罵倒や脅しなど、言葉による暴力を見聞きしたときのほうが、脳へのダメージが大きかったということです。

不適切な関りの経験がある子どもに、私たちができることとは

例えば、不適切な関りにより愛着障害を起こしている子どもの場合、「私のそばにいるこの人は、安心できる存在だ」と思えるように子どもを導いていくことが大切だと友田さんは言います。そのため、

①子どもの主導権を奪う「命令・指示」

②子どもの考えに反対するような、「不必要な質問」

③子どもに対して否定的なイメージを植え付ける「禁止や否定的な表現」

は避け、

1.子どもの言葉を受け入れる「繰り返しのコメント」

2.行動を受け入れる「行動を言葉にする」おこない

3.具体的に褒める

など、子どもを肯定するような言葉かけが推奨されています。

本書には、具体的なケースをあげて、どんな行為や言葉かけが子どものストレスに繋がるのかを述べています。子どもに関わる方は、子どもが安心して過ごせる日常のためにも、是非本書を手に取っていただきたいと思います。

 

 

 

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