子どもの支援、子育てに携わる方に、何度も読んでいただきたい一冊

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児童養護施設長の大森信也さんが、施設出身者に刺されて亡くなった悲惨な事件がありましたが、当時住む家もなく、所持金も数百円だった加害者は、頼れる存在がいる人からは想像もできないくらいの苦しみを抱いていたのだと思います。大森さんを知る方は皆口を揃えて、「大森さんは子どもの支援に熱心だった、この事件が本当に遺憾」と言います。その大森さんの、子どもへの支援への想いが綴られた本を読みました。
r.nikkei.com

本書の内容

施設を巣立った子ども達の苦しみ、内面や葛藤などを詩やエッセイで紹介しているのが、『施設で育った子どもの自立支援』と言う本

常に死や犯罪が頭から離れない人

不安でたまらなく、宗教のようなものに勧誘されて入った人

風俗から抜け出せない人

施設にいた時の想い

などの心境が語られており、施設出身者の心の痛みをリアルに感じます。

また本書には、3人の著者が子どもを支援する上で大切にしている想いがたくさん詰まっています。子どもを支援している人が、立ち止まったり悩んだりする時、そもそも、なぜ支援が大切なのかを振り返りたい時に、とても力になってくれる本だと思います。

子どもの支援で一番大切なこと

何より重要なのは、日常の関わり合いの中で、子どもが大切にされている、自分には価値があると感じられることだと著者らは言います。それは、施設に来た子どもの多くは、家庭で適切に養育されず、大人から大切にされた実感を持てずにいるため、自分の存在も大切にすることができず『どうせ私なんて、俺なんて』と自暴自棄な行動を繰り返す子どももいます。そのため、日々の生活の中で、私達大人が、子どもを大切に想っていると言う気持ちを言動で伝え続ける必要があります。

本書では、想いを形にする方法も学ぶことができる

本書には、次のように書かれています。

関わる大人に求められるのは、子どもの行動を咎める以上に、その存在を尊重することです。もちろん、社会生活上許されない行動は容認せず、代わりに取るべき方法をくり返し伝えていかなければなりません。そのときに最も重要なのは、子どもの行動と存在をはっきり分けること。どんな状況においても、子どもの感情や存在は否定せず、好ましくない行動だけを具体的に指摘し、それに代わる方法を共に考える姿勢が必要です。子どもの感情を否定することで、子どもは自分の存在そのものが否定されると感じてしまいます。

また、子どもが帰宅してきた時にかける「おかえり」に『今日も本当にお疲れ様』と言う気持ちを添えたり、帰ってきた子どもに「冷たいお茶かカルピスがあるけど、何飲む?」と、労わるように声をかけてあげたりと、本書からは、日々の生活の中で、大人が子どもを大切に想っている気持ちを、どのように声掛け、行動へつなげていけるかを具体的に学ぶこともできます

 

児童養護施設だけではなく、子どもの支援や教育に関わる大人に、是非手に持っていただいて、何度でも読み返していただきたい一冊です。