今回は、綾屋紗月さんと熊谷晋一郎さんの書かれた『発達障害当事者研究』と言う本を参考にしています。
綾屋さんは、30歳を過ぎてからアスペルガー症候群の診断を受けました。アスペルガー症候群は、2013年にアメリカ精神医学会の診断基準が変わり、自閉症も含めて自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder、以下ASDと略します)に統一されました。自閉スペクトラム症とは、対人関係が苦手、強いこだわりと言った発達障害の1つです。
綾屋さんは自著の中で、自閉圏の人は『意味のまとめ上げがゆっくり』だと主張されています。例えば、大抵の人は空腹になると『お腹空いた、ご飯食べたい』と思いますが、瞬時にそれが直結しないのが自閉圏の人の特徴だそうです。それがどのようなことかを、学んでいきたいと思います。
ASDの方は、意味のまとめ上げがゆっくり
今回分かったのは、多くの人が一瞬で判断するような意味のまとめ上げが、ASDの方はゆっくりな傾向にあることが分かりました。空腹感を感じると「お腹空いた」に直結する感覚が、綾屋さんは理解できないそうです。
これは私の考察ですが、ASDの方は、パターン化することも難しいのかもしれないと思いました。人間が空腹を感じることは日常茶飯事ですが、それを都度「お腹が空いた?」「具合悪い?」と一から考察されているような印象を受けました。
Ribbonさんの自閉症の息子さん達は、新しいことがとても苦手。この特徴も、意味のまとめ上げにかなりの苦労があるからではないかと考察されます。
意味のまとめ上げがゆっくりであることや、パターン化が難しいことは、対人関係の難しさにも繋がってくると考えられます。人と人との会話、相手の表情や感情には無数のパターンがありますが、問題なく話ができる人は、過去の経験や学びから、何となく相手の気持ちを汲み取り話をすることができるのだと思います。しかしASDの方は、都度他人の細かい所作の意図が判断できず、相手の言動のまとめ上げが難しい。つまり相手が、どんな攻撃をしかけてくるか分からないモンスターのように見えるのではないかと考えられます。
行動パターンを決めることで生活の安定に繋がる
綾屋さんの対策としては、食事はお腹が空いたら食べるのではなく、時間を決めて「12時になったら昼食を取る」と決めてしまうことだと言います。自閉圏の方は、生活のスケジュールを決めると方にハマりやすい印象があるのですが、スケジュール通りに生活することで、意味のまとめ上げの手間を省いて心も体も安定させるために必要な事なのではないかと感じました。
視覚化することで心の安定に繋がる
Ribbonさんの息子さんのまめさんは、自閉症児。まめさんは「いつもこうだから今日もこうだ」と言う考えが崩されると、頭の中が混乱し、ジャンプをしながら泣き叫び、自分の頭を叩いき、物を投げ飛ばす。周りなんて見えなくなるし何も聞こえなくなるそうです。
なるべくこのパニックを減らすために、視覚化して先をイメージできるようにしたり、ごちゃごちゃになった感情をRibbonさんに書いてもらい、落ち着かせるように対策をされています。
周囲が声掛けをしサポートする
綾屋さんは、片付けをしている時に、具合が悪くなってしまっても中々片づけを辞めることができないそうです。それは、片付けなければいけない物が次々に目に入って辞められないことが原因です。作業を辞められない時は、周りから「休憩にしよう」と声をかけてもらえることがありがたいと言っていました。
むすび
私は以前ASDの子どもを担当したことがあり、その時は本人がなぜそんな苦しいのか理解できませんでした。しかし今回綾屋さんの本を読んだり、Ribbonさんやブログ仲間のブログを読み情報を得ることで、ASDの方の頭の中がどのようになっているのか、少しだけでも理解することができました。
当事者の方が、どのように世界を見ているかを知ることができると、周りにいる人がより良いサポートに繋がり、当事者の幸福度向上に繋がることを感じました。