参考図書は、精神科医・作家の岡田尊司(たかし)さんが書かれた『愛着障害の克服』です。人が生きていく上で、子どもを育てる上で愛着は必要不可欠なものです。
前回は、主人公の小学校教諭が、学校でも家庭でも子どもの問題行動に悩んでいると言う話に触れました。自身の子どもには抜毛癖や素行障害などの症状があるため、医者に連れて行った方が良いのではないかと悩んでおり、職場のスクールカウンセラーに相談していました。今回はその続きの話になります。
愛着については、次回以降で詳しく取り扱いたいと思います。
医学モデルと愛着モデル
生活に支障を来すような何らかの症状がある時には、病院に連れて行くことがあります。すると医者は患者の症状を治したいため、治療の可能性がある診断をして治療をしようとします。薬を投与してその症状自体は抑えられ治療できる可能性はあり、著者の岡田さんは医学的な視点で症状を治療していくことを『医学モデル』と称しています。
しかし今回のような大人の接し方が問題の場合は、症状を治したとしても、その根本原因である子どもの環境は改善されないことが考えられます。そのため今表出している川下の問題行動をいくら改善したとしても、川上の不安定な愛着と言う問題が改善されていないため、また新たな問題が出てくる可能性があります。そのため岡田さんは、根本原因である愛着によるアプローチ(愛着モデル)が必要であると提唱しています。
むすび
振り返ると、私自身も不安定な愛着に苦しんでいたことを思い出しました。落ち込みや感情の起伏が激しく人間関係にも支障を来していたため、通院を開始しました。しかしいくら薬を増やしてもらっても、一向に改善しませんでした。その時の医者は、現在の私の症状を診て薬を処方してくれましたが、しかし私の生活環境や成育歴などの話は一切出てきませんでした。もしその時に、愛着を視点として対処できていたら、その時の苦しみから早く解放されていたのではないかと感じました。
参考にさせていただいた本
愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる(岡田尊司さん著)