今回は、児童精神科医である佐々木正美さんの『続 子どもへのまなざし』と言う本を参考にしています。佐々木さんは、子育てを担う大人たちがどんなことに気を付けていったらよいのかや、どんな関りをすることによって、子どもは心身共に健康に育つことができるのかを教えてくれます。
今回は、子どもの精神的・社会的成長にとって大切な母性的な関りと父性的な関わりについてを学んでいきたいと思います。
母性的な関りが先に必要な理由
大人が母性的な関りをすること、例えばその子どもの事を本当に大切に想ったり良いところを見つけてくれたりすることで、子どもはその大人のそばにいることが安らぎとなり、くつろぎとすることができます。愛情をたっぷり浴びた子どもは成長し、他の人との関わりを求め始め、ルールやマナーを覚える段階に入りますが、愛情欲求を受け止められてきた子どもは、周囲の要求を自然と受け入れることができると佐々木さんは言います。
佐々木さんの言っていることは、以前学んだ『愛着の形成』からも説明ができるのではないかと思います。
大人との情緒的な繋がりにより、子どもは行動範囲が広がっても、物事に対処できるようになります。悲しいことがあっても、それを情緒的な対象である大人に伝えることにより、ネガティブな感情を軽減することができていきます。また、心に住み着いた大人の存在が、子どもを守ってくれるようになります。社会性を身に付けるための注意や促しには、子どもの自尊心を傷つけることもありますが、自分が大切にされた経験のある子どもは、それを受け入れやすいのだと考えられます。
一方情緒的な繋がりがない子どもの場合は、注意をされて自分自身の行動を否定された時に、自分を支えてくれるだけの心の支えがないため、注意が中々入りにくいのではないかと考えられます。だからこそ、佐々木さんはまず母性的な関りをして、子どものことを、心から条件なしに好きになってあげ、安らぎの場を提供することは大切だと主張されたのだと思います。
人は自分が大切にされたと言う経験を経ることにより、他の人も大切にしたいと自然と思うことができ、社会性が身に付きやすいのではないかと思います。そういう意味でも、大人は、子どもの事を大切にすることで、間接的に他者のことも大切にしているのではないかと言うことが想像できます。
社会性が身についていない子にはどう関わったら良いのか
社会性が身についておらず、ルールを守ることができなかったり、他者への配慮が足りない人、最悪の場合犯罪をしてしまう人は、父性的なものの前に、母性的なものが欠落していると佐々木さんは言います。父性的なものを伝えるためには、母性的なものを伝える必要がありますから、そのような子どもに出会った場合には、母性的なものを伝えるためにはどうしたら良いかを考える必要があるそうです。
むすび
施設に入所する子ども達の中には、他人を傷つけるような発言をしたり、配慮できない行動をするような子どもは少なくありません。そのような子ども達には、すぐに行動を直してもらおうと父性的な関りをしてしまいますが、今回の学びを通して、子ども達には、先に母性的な関りをする必要を感じました。促しや注意をする前に、私は大切な子どもを、心から受け入れることができているか、子どもは受け入れられた経験を十分にしているかを考えていきたいと思いました。
参考にさせていただいた本
続 子どもへのまなざし(佐々木正美さん著)