今回は、児童精神科医である佐々木正美さんの『続 子どもへのまなざし』と言う本を参考にしています。佐々木さんは、子育てを担う大人たちが、どんなことに気を付けていったらよいのかや、どんな関りをすることによって、子どもは心身共に健康に育つことができるのかを教えてくれます。
このブログでは、以前母性的な関りと父性的な関りについてを学びました。社会的な力、マナーやルールを教える父性的な関りを教えるためには、子どもが心から大切にされたと感じる母性的な関りが重要であることを学びました。
今回は、児童精神科医である佐々木さんが、カウンセリングに来た子どもと、どのように話をしていたかについて触れたいと思います。
相手が求めるまでは意見を言わない
佐々木さんは、相手が求めるまでは、こちらの意見は絶対に言わないと言っていたので、本当に徹底していたのだと思います。それが、何週間、何か月、あるいは1年かかったとしても、佐々木さんは聴くことを徹底したのです。同時に、佐々木さんは、子どもから必ず意見を求めてくるときがありますと言います。児童精神科医の佐々木さんが必ず意見を求めてくる時があると言うのだから、子ども達の心は必ず変化すると言うことが確かなのだろうなと感じました。
キャリアコンサルタントの土井さんも、クライアントはいつ変化するのかは分からないけれども、その時は必ず来ると仰っているので、そう言うことなんだと思います。
佐々木さんは自著の中で、次のように言います。
基本的には、育児は子どもを十分に受け入れるところから始まるものです。まず、相手の話を聞いてあげることです。相手を受け入れてあげることです。相手が安心するまで、納得するまで、もういいというまで、待ってあげることです。できるだけ条件なしに、相手を承認する、認める、愛する、親からいえばそういうことだと思うのです。
子ども達が自律や自立をしていくための、すなわち、自分で自分の感情をしっかり抑制して、自律機能を発達させていくための、しつけや教育をするのは、子どもをありのままに受け入れてあげたあとからです。文化的な社会的な教育は、仮に父性的な働きと呼びたいのですが、母性的なもののうえにしか機能しないのです。
ですから、ある子どもに、いろいろな問題があるように思われたら、それは、ほとんどの場合には、母性的なものが足りないということなんです。母性的なものが十分与えられて、なおかつ社会的に不適応を起している人に、私は会ったことがありません。お母さん一人の責任という意味で、いっているのではないんですよ。そんな単純なことを、いっているわけではありません。
大人が子どもと関わる場合、佐々木さんの言ったことを良く頭に入れて関わる必要があると思います。ここで言う母性父性とは、それぞれ母と父が役割を担うと言う訳ではなく、片親の場合も可能だそうです。
日常生活でどのように活かすか
子どもをカウンセリングしている場と日常生活では、関わり方が大きく異なります。カウンセリングのように、日常生活の行動も全て受容することは難しく、時には禁止や指示が入ることもあります。禁止や指示指摘が多いほど、子どもは自分を否定されたと捉えてしまう可能性があるため、ルールを寛容にしたり、時には言わないと言う選択をしたりする必要があると考えられます。また、伝え方の工夫については、『親業』の本を読んだ時にまとめたので、それを意識する方向で良いと考えられます。
むすび
2回に渡り、母性的な関りや父性的な関りについて学んできました。 佐々木さんの子どもへの関りに触れて、私は子どもに対して、『この子は母性的な関りが十分されているのか』と言うことを意識して関わりたいと思いましたし、子どもがいっぱい話を聞いてほしい時は、子どもの心を満たしている状況と言う喜びを感じて話を聞きたいと思いました。
参考にさせていただいた本
続 子どもへのまなざし(佐々木正美さん著)