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大阪二児置き去り死事件6 -崩れていく日々とあっけなく決まった離婚-

2010年の夏に、マンションで2人の幼い子どもが亡くなりました。母親が子ども達を50日間マンションで放置したためです。このブログでは、2人の子どもの死に至るまでを考察し、どのようにしたら同じことを繰り返さないようにできるかを考えたいです。

母親である芽衣さん(仮名)は子ども時代に、母親からネグレクトなどを受けました父に引き取られた後は感情を受け止められずにいたことに触れました。そして芽衣さんは、中学時代に非行に走り、誘拐窃盗事件をおこして少年院にまで入所します。しかし高校時代に出逢った人の存在で、芽衣さんは非行をやめました。そして高校卒業後の職場で知り合った人とすぐに子どもを授かり、結婚しました。今回は、芽衣さんが出産してからの話に触れます。

参考にしているのは杉山春さんの書かれた『ルポ虐待 -大阪二児置き去り死事件』と言う本です。※この本は多くの人の証言を参考にしており、事実ではない部分が混ざっている可能性もあります。

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頑張りすぎていた結婚生活

芽衣さんは出産後、育児教室や健診など受けられる支援は全て受け、ママサークルの立ち上げにも参加しました。手作りの料理をして、きちんと洗濯もしており、義母からの印象は良かったです。さらに生後10か月の娘を連れて父の部活の合宿に参加し、朝4時から朝食を作り、練習中はグラウンドを駆け回りました。2泊3日の合宿を完璧な形で終わらせたのです。しかし、この完璧でなければならないと言う芽衣さんの思考が、日々芽衣さん自身を疲弊させていた可能性もあります。

長続きしない人間関係

芽衣さんは人間関係のトラブルでママサークルを抜け、それ以降小中学校時代の女友達と遊ぶようになります。

芽衣さんは高校時代に非行から立ち直りました。きっかけを作ったのは下宿先の母親代わりの存在で、ありのままの芽衣さんを受け入れてくれた影響は大きかったと考えられます。しかしたった3年では、芽衣さんが十分に満たされ、人間関係を長続きさせるための術を学びきることは難しかったことが考えられます。

大人として許されなかった芽衣さん

義母は芽衣さんの事を慕っており、2日に1回は連絡を取ったり会ったりしていたので、芽衣さんから裏切られたと言う思いが強く、そのため芽衣さんを拒絶する感情しか抱けなかったのではないかと思います。

子どもならまだ対応はできますが、大人になってしまうと、ダメなことをしたら非難されるのは当たり前のような世の中ですから、芽衣さんの問題行動への対応はかなり難しかったのではないかと思います。

しかし、芽衣さんのことを配慮した対応もできたのかもしれません。以前このブログでは、問題行動をする背景として、心を抑圧している場合がある事を学びました。

www.kakkoii-kosodate.info

結婚後の芽衣さんの問題行動は、抑圧していた感情が爆発したことも一因なのではないかと思います。問題行動を起こした時は、反省させるよりも先に、鬱屈した思いを吐き出させることが先だと言うことを知っていれば、芽衣さんの問題行動を非難するよりも先に、芽衣さんの感情を受け止め、改善することはできたのではないかと思います。

むすび

芽衣さんの結婚時代の話に触れて、芽衣さんの生き辛さを感じました。幸福を感じていた時期の芽衣さんは、もしかしたらその状況が壊れるのが怖くて、自分から壊してしまったのかもしれないですし、日々溜まっていたストレスを発散できず、爆発してしまった可能性もあります。

浮気もして借金もしていた芽衣さんを許せない気持ちになるのは人として当たり前の感情です。ただ、芽衣さんの幼少期からの過去や、少年院に行くくらいの非行少女だったことを知っていると、対応を変えることもできたのではないかと思います。

不適切な養育を受けた子ども達を見ている私からすると、大切にされてこなかった過去を抱えた子ども達は、施設を卒業する18歳になっても適切な人間関係を構築することは難しい場合があります。ストレスを感じた時に言葉にすることが難しく、人と良好な関係を保つことも難しい子どももいます。

芽衣さんと結婚する前に、芽衣さんの過去を軽く流すのではなく、そのことを心に留めておいて、配慮する必要があったとは思いますが、20代前半の男性にとって、それは難しいことだとは感じました。

参考にさせていただいた本

ルポ虐待 -大阪二児置き去り死事件(杉山春さん著)