今回は『親業』と言う本から学びます。親業は、米国の心理学者トマス・ゴードン氏が開発しました。
親業とは、親と言う職業について、親が学び努力して親となっていく訓練の一環を指しており、子どもが育つうえで親がいかに関わるかについてを述べています。以前このブログで学んだ教師学は、親業から派生した教師向けのメソッドです。
親業からは、親だけではなく、人と関わるうえでとても大切なことを学ぶことができるので、親ではない方でも、是非読んでみてください。
今回のテーマは、親が、自分の感情を抑えてしまうと言う過ちについて学んでみたいと思います。
親になると人間であることを忘れる
子育てをされている方は、『親だから子どものために我慢をしなければならない』と思ったことはありますか。親ではなくても、『上司だから』、『年上だから』、『後輩だから』と、ご自分の本当の気持ちを抑圧することがあるかと思います。
親としての役割を果たそうと思い、自分が1人の感情を持っている、弱点も持った人間であることを忘れてしまう。親業の著者は、これが親が最初に犯す大きな過ちと言います。
『親だから寛大でなければならない』
『親だからいつも一貫して対応をしなければならない』
『親だから自分の親のような過ちはしないようにしたい』
『親だから自分よりも子どもを優先しなければならない』
そして役割を果たそう、演じようと思い無理をすることで、本当の気持ちを隠すようになり、隠しきれない苛々や怒りが子どもに伝わってしまうと言うのです。
親が受容するフリをするとどうなるか
親が受容するフリをすると、隠しきれない感情が出てしまう。子どもは親の言動に敏感ですから、子どもは『自分は受容されていない』『親は自分を好きではない』と感じてしまう。一方で親が口では『OK』と言っている。この状態では、子どもは混乱しますし、身動きが取れなくなります。そしてこれが続くと、子どもは自分が愛されていないと思ってしまい、本当に愛されているか試したり、大きな不安に付きまとわれたり、親への不信感を覚えてしまうと、著者は言います。
例えば、疲れて満身創痍の状態の時に、子どもがひっついてきて、一緒に遊んで欲しいとせがむ。パートナーがひっきりなしにしゃべり続ける状態だった時、どのように関わりますか。私は満身創痍の状態でも、周りを大切にしたいと思い関わって、休めない状況に我慢ができずに不機嫌になってしまします。
一方自分の気持ちを大切に出来る人は、「今疲れているから休ませて欲しい」と伝えることができる思います。
自分の人間性を大切にするためには
著者は、『親業をうまくやりとげる親は、自分が本当のに1人の人間であることを自分に許す』と言います。子どもに対して受容できないと思うことは認め、自分の感情に基づくはっきりとしたメッセージを子どもに送ることができれば、子どもは建設的な形で対応できるようになると、著者は言います。そして1人の人間として親を理解するようになると言うのです。
自身の感情は、『わたしメッセージ』で伝えることができます。
自分の気持ちを大切にして気持ちを打ち明けることで、周りも自分のことを大切にしてくれるようになるのではと考えられます。それと同時に、自分も相手の気持ちも大切にしようと思うことができ、双方がお互いを想い合うことに繋がるのではないかと思います。
むすび
今回は、親であっても自分の人間性を大切にして良い、と言うことを学びました。これまで私は子どもと接する中で、『大人だから、子どもが何と言おうが、厳しく言わなければならない』『大人だから、いつも優しく寛大に振る舞わなければならない』『子どもが第一優先』と思って気持ちが張り詰めている感覚でしたが、その肩の荷が下りた気がしました。
親業では、コミュニケーションを取りながら、お互いを大切にし合える関係を学ぶことができるように思います。
今回から10回から20回くらいに分けて、親業について学んでいきたいと思います。
参考にさせていただいた本
親業(トマス・ゴードン氏著)