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活動範囲・認知機能・発達に大きな影響を与える『愛着』

岡田尊司さんの著作『愛着障害―子ども時代を引きずる人々』を学んでいます。岡田さんは本書で、『愛着』は人と人の絆を結ぶ能力で、人格の土台の基となり、『愛着のスタイル』は対人関係だけではなく、成長や仕事、人生の姿勢に大きく影響することを説明しています。また岡田さんは、精神的なトラブルの多くや家庭問題、虐待や非行、犯罪や発達障害の根底には愛着の問題が関係しているとも指摘しています。

本書を読み解くことで、人が抱える生き辛さを愛着視点から理解でき、生き辛さを解消するヒントを見つけることができます。また家族や職場の人、友人等の愛着スタイルについての理解が深まり、適切な関り方を考えるヒントを学ぶことができます。

今回は、乳幼児の頃に形成される『愛着』が、発達等に与える影響について学んでいきます。

人は、自分のことを絶対的に守ってくれる存在(安全基地)が必要

岡田尊司さんは、愛着形成は乳幼児の抱っこからはじまると説明しています。抱っこをして体を接触させることは子どもの安心の原点であり、これにより愛着が育まれていきます。岡田さんは、子どもが泣くとすぐに抱っこをする母親の場合は子どもとの愛着が安定しやすく、泣く子を放っておいても平気な母親では不安定な愛着になりやすいと説明しています。

乳児は1人では何もできず泣くことでしかサインを出すことができませんが、自分の事をいつでも必ず守ってくれる存在が安心感に繋がります。その安心感があるからこそ、養育者から離れて冒険をする意欲を持ち活発になることができる。その冒険(探索活動)で危険を感じた場合は養育者のもとに戻って助けてもらい身の安全を確保し、また冒険を再開し沢山の経験をすることにより、発達が促進されます。守られていると安心を感じる子ども程、沢山の経験をし、対人関係・コミュニケーション能力や認知機能などが発達していき、人として成長できると言うことです。

安全基地がない・愛着が不安定だとどうなるのか

安全基地がないと言うことは、何かトラブルがあった時、自分が困った時に守ってもらう事ができません。子どもは、いつ自分が危険に遭遇するか分からない恐怖があるため、探索活動は消極的になります。安全基地がなく、愛着が不安定な場合は人と関わる機会や学びの機会が少ないため、対人関係・コミュニケーション能力や認知機能等が成長しにくく、人としても成長しにくくなることを岡田さんは指摘しています。

愛着形成の条件とは

安定した愛着を形成するためには、『臨界期』と『特別な存在』の2つが重要となります。愛着形成にとって最も重要な時期は生後6か月から1歳半の間であり、この時期が過ぎたり、臨界期の間に養育者が交代すると愛着に傷を受けやすいそうです。

また、愛着形成のためには、特別に選ばれた存在との絆が重要であるとも説明しています。かつて合理的な考えの人達が、子育てをもっと効率よく行う方法を考え、複数の子どもを交代で養育する方法を試しました。その子ども達が大人になると、親密な関係を持つことに消極的になったり、対人関係が不安定になりやすい結果が得られたそうです。ただし、夜間は親子水入らずで過ごした場合はその悪影響はかなり少なくなる結果が得られたとのこと。私は幼い子どもを保育園に預けることは不安定な愛着に繋がるのではないかと心配していましたが、自宅にいる時間を大切にすることで、それを防げることが分かり安心しました。

むすび

今社会的養護の世界では(児童養護施設児童自立支援施設等)、発達障害の子どもが増えていることが問題視されています。これは、生まれながらにして障害を抱えている場合もあるかもしれませんが、愛着が不足していることにより幼い時から経験を積み重ねることができないことが一因であることも理解しました。誰もが生後6か月から1歳半の記憶は殆どないと思いますが、その時期の親の関りが、いかに重要かを実感しました。