小林美智子さん著書の『帰宅恐怖症』。帰宅恐怖症とは、夫が妻を怖がり、夫の仕事が終わっても家に帰りたくない状態のことです。
帰宅が怖い男性の声
本書には、さまざまな悩みの声があげられています。たとえば、次のような男性の声。
「妻のグチが続いたり暴言が始まると、ものすごく緊張して、嵐が過ぎるのをただただ待つように小さくなっています」
「私も妻の負担を減らそうと、できる限り手伝っているのですが、妻には妻のやり方があるらしく、自分のやり方と少しでも違いがあると、まるで『人間失格!役立たず!』のような暴言を吐くのです。やらなければやらないで文句を言われ、やればやったで文句を言われます。いったいどうしたらいいんだ!怒りもあるし、正直、怖さもあります」
女性は、夫に対してイライラがおさまらない状態。男性は、何をしても妻がイライラしてしまってどうして良いのか分からない。本書では、夫婦の体験談、帰宅恐怖症が起きるメカニズム、帰宅恐怖症が起きやすい男女の特徴、対策案について紹介しています。
帰宅恐怖症になりやすい夫婦
著書では、夫婦ともに真面目なほど、夫が帰宅恐怖症になりやすいと言っています。
たとえば、妻が生真面目で融通が利かないタイプですと、自分のルールを必死で守ろうとします。「~ねばならない!」という生真面目さが、自分自身だけではなく、夫をも追い詰めることになるのです。そして、夫の方も生真面目ですと、妻から何か言われると、いちいちまともに反応しようとし、うまくいかないと、余計に自分で自分を追い詰めることになります。
私も真面目、と言うか、以前はヒステリックになりやすい性格で、付き合っていた人に当たってばかりいて、ひどい時は1日に怒りのメッセージを何百通も送るようなかなりヤバいヤツでした。しかしそんな私のイライラを吹っ切ってくれたのは、どんな時も逃げずにずっとメッセージをやり取りしてくれたり、イライラをぶつけた時に彼が発するユニークな発言やしょうもないラインのスタンプでした。彼は『恵もそういう時期があるから仕方ないよな』と思ってくれたのか、怒りに対しての耐性があるのか分かりませんが、とても不思議な人でした。笑ってしまうような返答が来た時には、怒っている自分がばからしいと思いました。イライラするパートナーに困っている男性は、友達に相談して、どのように面白く切り返すかを考えてみても良いかもしれません。
帰宅恐怖症を克服するためにお互いができることとは
本書では、帰宅恐怖症から脱出するための10つの方法について紹介しています。その中で、素敵だと思った克服法について紹介します。
男性編 ご自分の気持ちを正直に伝える
例えば男性は、妻に正直に「怖い」と伝えることを勧めています。それは、正直な気持ちを伝えなければ、現状は何も変わらず、悪化していくだけだからです。次のエピソードは、小林さんが、ある男性に対して、本気で伝えるようにアドバイスをした時のものです。
その男性は、「これから嘘偽りのない気持ちを言うから、きちんと聞いて。僕はもう限界だよ。何をどうしたらいいのか分からない。本当は、男として、夫として、尊敬されていたい。信頼されていたい。認めてほしい。許されていたい」と、自分の言葉で、自分の本音を、本気で伝えました。話していて涙が止まらなかったそうです。それでようやく妻にも気持ちが届いたようで、「私、変わるから。今までごめんね」と優しく言ってくれたそうです。その男性が言うには、「今回、本気で伝えることができて、ようやく同じ土俵に立てた気がします。(省略)妻が優しい言葉をかけてくれたのは、本当に大きな変化で、それだけでとてもうれしかったです」とのことでした。
これは夫婦間だけではなく、他のコミュニケーションでも活用できるのではないかと思いました。
女性編 無理をしないで
本書では、家庭内で苛々してしまい、夫に当たってしまう女性は、しっかり者が多いと言います。
気配りも、人付き合いも、上手なのですが、あまりに頑張りすぎて、精神的に疲れてしまうのです。何でもこなすので、周囲から頼りにされますが、限度を超えて頼まれごとを引き受けたりもして、肉体的にも、精神的にもへとへとになりがちです。
女性は一生懸命になりすぎて、疲れてしまうのだと思うのです。女性はホルモンバランスが崩れて調子が悪くなりやすいのに加え、疲れがたまっていると、それが増長されます。一昔前の、『男は外で仕事、女は家で家事育児』と言う考えが抜けきらない男性が多く、男性よりもたくさんのことに気付いて動くことができる女性が苦しい思いをしているのが日本の現状だと思います。だから女性は無理をせずに、できるだけ人を頼ったり手抜きをしたりして、無理をしないで体を労わるところから始めてほしいと思います。
本書は、なぜ夫婦仲が悪くなってしまうのかを詳しく説明してくれるだけではなく、すぐに行動に移せるようなアドバイスが詰まっています。是非読んでみてください。
|