インタビュアーとしても活躍されている著者の阿川さんは、多くの方の聞き方、話し方をかなり分析されています。今回は、今からでも実践できる『聞き方』について学んでいきたいと思います。
阿川さんが目指していた”聞き方”とは
インタビュアーの阿川さんがついつい話し手に回ってしまったと言う城山三郎さん。城山さんは『そう』、『阿川さんは(どうなの)?』、『面白いねぇ』、『それから?』など、ほんの一言挟む聞き方をしていたそう。ここで阿川さんは、『鋭いツッコミや、ドキッとさせるような質問は必要なく、「この人に語りたい」と思うような聞き手になればいいんだ』と気付くことができました。
質問リストは要らない
阿川さんがインタビューの仕事を始めた頃は、20個にも及ぶ質問リストを作っていたそうですが、そうすると『次は何の質問にしようか』、『話の流れ的に今度はこの質問にしようかな』などと、リストから質問を選ぶことに一生懸命になってしまい、話の内容が全く頭に入ってこなかったと言います。そこで先輩のアドバイスをもとに、質問の柱を3つに絞ったそうです。そうすると、質問の頼りになるのは会話の内容ですから、相手の話を真剣に聞かざるを得なくなります。
また、『人は会話中の多くの時間を、相手の話ではなく、自分の事について考えている』とある本で読んだことがあります。私も職場で子どもの話を聞いている時に、『あ、まずい今何も話聞いてなかった・・』と思うことがあるため、会話中それに気付くと子どもの会話に集中することができます。話し手から情報をたくさん聞きだすためにも、集中して会話する必要があります。
阿川さんが大切にしている ”観察”と”感性”
阿川さんは、インタビュー中に『あれ?』と思ったことを聞くそうです。また、相手の行動を良く観察し、気になったことを聞くことも。相手を見て、良く話を聞いて、スルーしてしまうようなことにも気付くことで、それだけ相手(の仕事)に注視していること、関心を持っていることが伝わるし、話し手もより心を開くようになるのではないかと思いました。
話が終わらない人に対しては・・・
私は施設で、ある1人の子どもが一方的に話してしまうことで悩んでいますが、そんな困ったシチュエーションに対して阿川さんは、質問や発言の差し挟み方を提案してくれます。発言者がある程度話して息を吸うタイミングで、「で、〇〇さんはどう思われますか?」、「確かに、〇〇さんのおっしゃる通り(ここで喋り手が聞く姿勢を持つ)ではありますが~」と言うと、相手の気を悪くすることなく別の人が話せると言います。
本書では、全く異業種の方と話す時のコツ、相手が思わず話したくなってしまう聞く時のコツ、話す時に避けた方が良い事、相手の気持ちを推し量る大切さなど、対話する時に活かせるたくさんのコツを阿川さんが教えてくれます。会社で働く方にも、学生さんにも、家庭をもつ方にも、お勧めの一冊です。
|