今回は、児童精神科医である佐々木正美さんの『続 子どもへのまなざし』と言う本を参考にしています。佐々木さんの本では、子育てを担う大人たちが、どのような関りをすることによって、子ども達が心身共に健康に育つことができるのかを教えてくれます。
今回は、子どもの心を満たすためには、物ではなく何を与える必要があるのかについて学びます。
心が満たされれば望まなくなる
児童精神科医の佐々木正美さんは、自著の中で次のように言います。
子どもが望んだことを満たしてあげることについての質問ですが、それは満たしてあげればいいんですよ。子どもは、自分でできないからそうしてほしいというのではなく、気持ちを満たしてほしいから、そういっているのです。子どもの望んでいることを聞いてあげたからといって、自分でできることも、できない子になってしまうなんてことはありませんよ。けれども、親が過保護にすると「依存心の強いわがままな子になってしまう」と思っている人は、案外多いですね。
上述したイラストで出てきたように、抱っこしてほしいとせがむことがありますが、そう言う時は、幼稚園・保育園で辛いことがあった場合や、不安な気持ちが強い場合があるので、その時にすぐに親が要望を満たすことにより、子どもは『満たされたい時にいつでも満たしてもらえる』と言う安心感で満たされるそうです。
子どもを満たすことができるのは物ではなく『心・時間・身体』
佐々木さんは、子どもは物では満たされないと言います。親がどれだけ小遣いや家計を節約して、仕事を頑張ったとしても、子どもにはそれは見えないので、愛情は伝わりにくいのだと考えられます。
その代わり物以外のこと、『心・時間・身体』については、子どもが望んだことを望んだとおりに満たすことを佐々木さんは勧めています。物で満たすことはおススメしていません。例えば子どもが食べたいもの、飲みたいものを提供したり、休日は子どもの要求に応えたり、側で寝て欲しいと言われたらそれに応えたり。物以外での要求をたくさん満たしてあげれば、物を要求しなくなるそうです。
佐々木さんは奥様と話し合い、ご自身の子どもに対しても、心と体と時間を使って、子どもの心を満たすような関わりを続けたそうです。休みの日には、殆どの子どもの要求に応え、トランプやキャッチボール、釣り堀に行くなど、佐々木さんは子どものために心と時間と身体を使いました。そのように育てられた佐々木さんの子どもは、物を欲しがると言うことで、佐々木さん夫婦は困ったことが殆どなかったそうです。
私は成長期の頃食欲を抑えることができなかったのですが、母が際限なく食べさせてくれるので、1年で10キロ近く太った程何でも食べさせてくれました。私が食べたいと言って、母がもうやめなさいと言われたことはないです。そして母は、子どもの話を親身に聞いてくれたり、子ども1人ひとりの事を考えてくれていました。その母の関りが、心を満たすものだったと感じています。
むすび
佐々木さんの言葉に触れて、子どもが本当に欲しがっているのは、物ではなく心だと感じました。児童福祉関係の仕事をしていても、物を欲しがったり、要求が多い子どもはいますが、彼らは今まで大人から満たされてこなかったから、今たまりにたまった要求が出ているのだと捉えようと思いましたし、子ども達に対して、話を聞いてあげるとか、時間があったら、何かお菓子を作ってあげるとか、子どもが望めば一緒に遊ぶとか、心を満たすためにできることを考えていきたいと思いました。
参考にさせていただいた本
続 子どもへのまなざし(佐々木正美さん著)