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子どもが躓いた時に、がんばらなくていいと伝えるとどうなるのか

今回から、宮口幸治さんの著書『どうしても頑張れない人たち』について触れていきます。宮口さんは立命館大学の教授であり、それ以前は精神科病院医療少年院に勤務された経験があります。

宮口さんは「頑張ったら支援する」と言う社会の雰囲気に疑問を感じ『そもそも頑張れない人たちや、怠けてしまう人たちほど支援が必要なのではないか』と考えていました。本書には、頑張れない人たちはどう感じているのか、支援者がどのように関わっていったら良いのかなどについて紹介されています。

今回は、大人の『頑張らなくていい』と言う声掛けが、子どもにどのように影響する場合があるのかについてを学びます。

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知能検査とは、子どもの発達の程度を測定するものであり、言語面、集中力、認識面、処理能力など様々な視点から検査されます。各検査項目で偏りがあったり全体的に低いと、日常生活を送ることが難しかったり、勉強についていきにくいと言う問題を生じます。

『がんばらなくていい』と伝えることの影響

今回紹介した例では、自分の子どもの発達が遅れていることを知った親が、子どもに『頑張らなくていい』と伝えます。それを聞いた子どもは、頑張らなくていいんだと安心し、勉強やコミュニケーションを向き合うことを諦めて、結局問題が先送りされたまま大人になってしました。そして大人になってももちろん問題解決能力がコミュニケーション力が養われているわけではありませんから、社会に出て躓いてしまう可能性があることに触れました。

本書では、幼い頃に縄跳びを頑張りすぎて足を痛めた子どもに対し、親が『頑張り屋だから無理をしたらダメだよ』と言い続けた話が紹介されていました。それを言われ続けた子どもは、チャレンジしない日々を送りました。大人となった本人は、子どもの頃、もっと親に頑張らせてほしかったと言ったそうです。

無理しないと頑張らないのは違う

著者の宮口さんは、『無理をしなくていい』と『頑張らせない』とは違うと言います。無理をしないでと言うのは、頑張りすぎて心身共に不調になるような危険がある時に使う必要があります。

通常、人は何をするにしても、努力して頑張らないと生きていけないのです。小学校、中学校と義務教育までは保護者や学校の先生の保護のもと、生きていけるかもしれません。しかし、高校に行かず中卒で働くとしても、仕事場では頑張らないとクビにされてしまいます。どこの世界でも頑張らない人は評価されないでしょう。 

大人であっても、状況がより良くなるためにはどうしたら良いのかを考え続けるのではないかと思います。それと同じで、子どもが何歳になっても何らかの形で努力をしたり改善をしていくことは必要なのです。

今回の例のように、頑張らなくていい、他者からの評価なんて気にしなくても良いと子どもに伝えてしまうと、子どもは誤解する可能性があることを学びました。人から好かれなくても良いと思うことで、自己中心的態度を取り、ますます周囲からの評価は下がり、自信ややる気を遠ざけ、悪循環に陥ることも推察されます。親が子どもに『頑張らなくても良い』と伝えることで、問題が先延ばしにされるだけであり、最終的に困るのは子ども自身であると言うことを知りました。

むすび

私は中学に入学したころ、勉強について行けずに泣いて学校の宿題をしたことがあります。最初に躓いたのは、数学のマイナスの概念が分からなかったことです。母に何度説明されても理解できずに苛々して投げ出したくなりましたし、分からない授業が苦痛で仕方がありませんでした。その後塾に入れてもらい勉強について行けるようになったのですが、一時期勉強が大変と思うだけでも学校に行くのが億劫になり、授業の時間が苦痛でした。勉強に遅れのあるお子さんが、小学校から中学、高校へと引きずり、社会に出ても勉強以外でも解決できない苦しみを抱き続けると思うと、私が想像する以上にしんどいと思います。

施設にも、境界知能や知的障害の子どもはいます。その子ども達は、勉強が分からなかったり、対人関係で躓くこともあり、苦しんでいる子ども達を見ていると私も辛い気持ちになります。一方私は『この子は発達に遅れがあるから仕方ない部分もある』と諦めの気持ちもありました。しかし宮口さんの話に触れて、その子が社会に出るまでに、大人ができる環境作りや関わりを考え、取り組んでいく必要がある事を感じました。

参考にさせていただいた本

どうしても頑張れない人たち(宮口幸治さん著)