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子どもが勉強で困っている時どのように関わったら良いか -能動的な聞き方から考える-

今回は、心理学者トマス・ゴードンさんの開発した『親業』を参考にしています。親業からは、子どもへの関わり方について学ぶことができます。

能動的な聞き方とは

親業では、主に2つの話の聞き方について紹介されており、受容的な聞き方と、能動的な聞き方があります。能動的な聞き方とは、相手(子ども)の話したい事、話しているその気持ちを積極的に(能動的に)汲んで聞くことを指します。具体的には、親が、子どもの気持ちを言葉で口にし、確認する作業の事を言います

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親が子どもの気持ちを理解する姿勢を示すことで、子どもは自身の感情を肯定し、その感情と向き合うことができます。そして自分でそれを対処しようと考える方向に向かうので、子どもの自立の力を育むことができます。

今回は、近藤千恵さんの書かれた『「親業」に学ぶ子どもとの接し方』から、実際に能動的な聞き方を学んだ親が、どのように子どもと接したかを参考に、能動的な聞き方について学びたいと思います。

宿題に困る子ども

家で、F君が「もう、イヤになっちゃうよ!先生は宿題をいっぱい出して!できないよ、こんなにいっぱい!」と怒っています。こんな場合、どのように子どもに関わりますか。

 

能動的な聞き方を学んだ親は、次のように子どもと関わりました。

 親 きのう出されたの?

F そうだ!

親 だったらみんなも同じ条件なんだから、ぼくだけができないってことないでしょ。ガンバッテ!

F ウルセーナ、わかってるよ、そんなこと。

(ここで親は、親業で学んだ能動的な聞き方について思い出す)

親 先生がたくさん宿題を出したのでイヤになってるのね。(能動的な聞き方)

F ・・・・・・・。

親 あんまり宿題があるとイライラしちゃって、手につかないわよね。(能動的な聞き方)

 親は最後に、F君の気持ちを理解していることを示して、後はF君に任せました。するとF君は、5分くらいぼんやりしてから、勉強を始めたそうです。

F君は、宿題をちゃんと終わらせたいと思っていて、終わらせるか分からないからイラつき、その感情を吐き出しているだけなのです。そんな時に親が「宿題は昨日出されたの?」とF君の行動が適切かどうかを判断しようとし、あなたにもできると励ますような言葉掛けをしていますが、F君は、自分はできないとは思っていない、と著者の近藤さんは言います。

最初の親の発言、親が子どもの行動を判断したり励ましたりするような言葉かけは、子どもを余計に苛々させ、勉強だけではなく親とまで敵対せざるを得ない状況を、親が作ってしまっています。

しかし、親が子どもの気持ちを汲み取るような関わり(能動的な聞き方)をすることで、子どもは気持ちが落ち着き、自身の感情ややるべきことと向き合うことができたと考えられます。

確かに私も、子どもの時に勉強に追われて焦ってしまった時、親から叱られるようなことがあったら、Fくんのように、「ウルセーナ」と返してしまうかもしれません。子どもの宿題は子どもの課題。それに必要以上に口出しをしても、子どもを余計に嫌な気持ちにさせてしまうことがわかりました。

勉強のやる気がしない場合

K君 今日は全然勉強する気しないよ。

母 今日は疲れてやる気がしないのね。(能動的な聞き方)

K君 うん。何だか全然やる気がしないよ。

母 朝はサッカーだったし、午後からはスポーツクラブがあったし、疲れたでしょ。

K君 ウン。(と言って寝転ぶ)

母 (私はしばらくそのままにしておく。しかし宿題があると言っていた。九時になる。寝転がってはいるけれど、寝てしまってはいないKの顔を見ながら)本当は宿題をやらなきゃいけないと思っているのね。(能動的な聞き方)

K君 ウン。(とおきあがって机に向かった)

 この母がしたように、子どもの考えや気持ちを言語化すること(能動的な聞き方)によって、子どもも自身が状況を正確に把握したり気持ちを再確認する材料になるのではないかと思います。

この親の素晴らしいところは、親が子どもの気持ちを汲み取った後、その後の行動は子どもに委ねたことです。それにより、子どもは自分の行動を自分で決めることができました。

もしこの時、子どもが寝ることを優先して、勉強を後回しにしてしまっても、その後の結末を引き取るのは子ども自身です。親が、子どもが自分で自分の行動を決めることができる環境を提供することで、子ども自身が考え、自主的に行動することができるようになっていくのだと考えられます。

むすび

今回は、子どもが勉強のことで困っていることを題材に、能動的な聞き方についてどのように関わったら良いのか学びました。

能動的な聞き方も、受動的な聞き方も、親が主体となって話をしないと言うところが特徴にあると思います。

もし大人が、指図や説教、嫌味などを言ったら、子どもは親と戦うことにも一生懸命にならなければなりません。親が指示や叱咤激励をしないから、余裕が生まれ、自発性が芽生えるのだと思います。

私は小学校の頃、漢字を毎日1ページおこなうのすら苦痛でしたが、中学時代は1日14時間勉強するくらい勉強が好きになりました。

勉強のやる気が湧いてきたのは、ちょうど親や教師から勉強のことで叱られなかったタイミングと重なる気がします。子どもにとって、叱られない、非難されないことによる心の余裕は、やる気アップのためにも大切なのではないかと思いました。

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参考にさせていただいた本

「親業」に学ぶ子どもとの接し方(近藤千恵さん著)