今回は宮口幸治さんの著書『どうしても頑張れない人たち』を参考にしています。宮口さんは立命館大学の教授であり、それ以前は精神科病院や医療少年院に勤務された経験があります。
宮口さんは「頑張ったら支援する」と言う社会の雰囲気に疑問を感じ『そもそも頑張れない人たちや、怠けてしまう人たちほど支援が必要なのではないか』と考えていました。本書には、頑張れない人たちはどう感じているのか、支援者がどのように関わっていったら良いのかなどについて紹介されています。
今回は、宮口さんが臨床経験から分類した、『頑張る』に繋がる3つの段階についてを、ビリギャルの主人公小林さやかさんの高校時代に触れながら学んでいきます。
やる気に繋がる3つの段階は①見通し、②目的、③使命感です。次の話の中で、どの場面がどれに当たるのかを探しながら読み進めていってください。
宮口さんが提唱する、やる気に繋がる3つの段階は①見通し、②目的、③使命感。これらについて考察していきたいと思います。
第一段階:見通し
見通しの有無により、〇〇をやってみようと言う気持ちが続くかどうかに影響します。どれだけやれば、努力が報われるかと言う見通しも大切です。
著書には、ユダヤ人収容所内についてが紹介されていました。収容所では、クリスマスに帰ることができるかもしれないと言う噂が広まりましたが、結局それが嘘だったと言うことが分かります。すると年末年始にかつてないほどの多くの死者が出たそうです。収容所は期日がなく、いつまでこの状態が続くか分かりませんから、終わりの見えないトンネルを進むことは困難になります。
一方さやかさんの場合は、受験日に慶応大学に合格する、そして坪田先生の教えてくれる勉強に取り組めばきっとそれが叶うと言う見通しがありました。
想像する力が乏しい場合は、図式化したり壁に貼り付けたりして提示することで、イメージとして残りやすくなります。
第二段階:目的
目的は、そもそも何のためにそれをやるのかと言うことです。目標は、すべきことですが、それだけではやる気を持続することは難しいです。
さやかさんの場合、慶応大学に入ったら面白いことがあると、都度坪田先生が励ましてくれたことが、目的意識につながったのではないかと考えられます。
第三段階:使命感
また目的だけでは、短期的に頑張れても続かないと宮口さんは説明しています。
強制収容所から生還したヴィクトール・フランクルは、気力を保つ方法として、自分が現に身を置いている過酷な状況から距離を置いて、高いところから自分を眺めたそうです。そして将来自分が”強制収容所の心理学”と言うテーマで講演していると想像し、心の中で講演していたと言います。使命感や志を抱き続けることで、辛いことを乗り越えるエネルギーとなります。
さやかさんの場合は、母や友人の存在が大きかったのだと思います。身を削りさやかさんのために精一杯な母。そして友達は、授業以外の時間を勉強に充てるために授業中に睡眠を取っていたさやかさんが先生に注意された時に、擁護してくれました。自分のために一生懸命になってくれる人のためにも、絶対に頑張ろうと決めたのではないかと感じます。
むすび
やる気に繋がるためには、見通し、やる意味、使命感が大切であることを学びました。
このことを子どもに還元するために、まずは見通しを図式化することはすぐにできそうだと思いました。また使命感を持つためには、本人が満たされている必要があると考えられます。さやかさん自身も母からありのままを肯定されていたので、それが頑張ろうと言う気持ちにつながったのだと思います。人は人と共に生きる生き物ですから、使命感を持って、誰かのためにと活動する時がエネルギーが湧きあがるのではないかと感じました。子どもだけではなく、大人であっても、大切にされることはやる気に繋がることを忘れないで、生活をしていきたいと思いました。
参考にさせていただいた本・サイト
どうしても頑張れない人たち(宮口幸治さん著)