2010年の夏に、マンションで2人の幼い子どもが亡くなりました。母親が子ども達を50日間マンションで放置したためです。このブログでは、2人の子どもの死に至るまでを考察し、どのようにしたら同じことを繰り返さないようにできるかを考えたいです。
母親である芽衣さん(仮名)は子ども時代に、母親からネグレクトなどを受けました。そして父に引き取られた後は感情を受け止められずにいたことに触れました。そして芽衣さんは、中学時代に非行に走り、誘拐窃盗事件をおこして少年院にまで入所します。今回は、芽衣さんの高校時代、高校卒業後の話に触れます。
参考にしているのは杉山春さんの書かれた『ルポ虐待 -大阪二児置き去り死事件』と言う本です。
高校3年生の時に変化した芽衣さん
中学入学後から家出などの非行を重ねた芽衣さん。高校に入学後も負荷がかかると家出をしていたそうです。そして、タンスからタバコや汚いショーツが見つかり、下宿先の教員の母(以下下宿先の母)が叱った時には「覚えていません」「分かりません」と答えたそうです。下宿をさせてもらっているのに、このような態度をされたら多くの人は怒りや憎しみを感じるのではないかと思います。しかし迷惑をかける芽衣さんに対し、下宿先の母は丁寧に話を聞きました。そしてありのままの芽衣さんを受け入れたのです。そして芽衣さんが高校3年生になってから、人が変わったように、良い方向へ変化したそうです。
これは私の考察ですが、芽衣さんは誰からも受け入れられないことに対する負の感情を、非行と言う形で発散していたのかもしれません。そして心のどこかで、『こんな自分でも愛してくれるか。ダメな自分でも、受け入れてくれるか。』と言う気持ちで、非行を続け、他者の反応を確認したかったのかもしれないと感じました。しかし下宿先の母が、ありのまの芽衣さんを受け入れてくれたことで、芽衣さんの心は産まれて初めて安堵したのではないかと考えられます。自分の事を大切に想って、ありのままの自分を受け入れてくれる存在がいるからこそ、芽衣さんは頑張ろうと思えたのかもしれません。
むすび
私は今回、芽衣さんが家出をやめ、いい方向に変化した話を知りとても驚きました。子どもが非行に走っても、大人が子どもの気持ちを受け止めて、大切に関わることで子どもは大きく変わる可能性があることを学びました。施設の子ども達の中で、とても許しがたい、大人を怒らせるような行動を頻繁にする子どももいます。しかし、そのような子ども達は、成育環境が多きく影響していることを忘れてはいけないし、私も子ども達に対して、話を聞き、感情を受け入れられる存在でありたいと思いました。
芽衣さんは高校を卒業してから地元に戻りました。そこには、ありのままの芽衣さんを受け止め、『立派でなくても、良い大人でなくてもいいんだよ』と支え続けてくれる人は残念ながらいませんでした。地元へ戻らず、下宿先の母の身近で過ごしていたら、芽衣さんの人生は大きく変わっていたのかもしれません。
参考にさせていただいた本
ルポ虐待 -大阪二児置き去り死事件(杉山春さん著)