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親の少年Aへの関りはどのようなものだったのか -親の視点から考察する-

1997年に神戸で小学生が連続して襲われる事件があり、この事件により山下彩花さんと、土師(はせ)淳くんの尊い命が亡くなりました。その事件の犯人は、当時14歳であった少年『A』でした。Aは子どもの頃、祖母に全てを受け入れられ、愛されている事を感じていました。しかし祖母の死という絶望に直面し、そこから虫や動物を殺すようになり、連続児童殺傷事件へと繋がりました。

今回は、Aが子ども時代どのような環境で育っていたのか、親の視点で触れていきたいと思います。参考にしているのは、Aの両親が執筆した『「少年A」この子を生んで‥‥‥』と言う本です。

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母にとって、体罰は当たり前のことだった

母の手記からは、『お尻を叩いて言い聞かせる』『怒鳴る』と言うことは日常的におきていたことだったと感じました。昭和の時代ですから体罰は当たり前の時代だったのかもしれませんが、今は身体的・精神的虐待として捉えられます。

小3のAが怒られた時に、異常な状態になったと記されていましたが、この前にもきっとサインがあったのだと思います。子どもを叩き叱ると、子どもは怯えたり、泣いたりするものだと思いますが、子どもの『辛い』『怖い』『怯えている』をキャッチできず、親は攻撃的な態度を貫き通したことが想像できます。親自身の、子どもの表情や感情を読み取る能力が乏しかったことも考えられます。

Aが出したサイン

三男が産まれて間もない頃、4歳のAは膝の痛みを訴えました。しかし検査をしても異常はなく、医者からは『Aに構うように、精神的なもの』と言われました。祖母に三男を頼み、Aに構うようになると足の痛みは良くなったそうです。

また次に記載されていた通院は、Aが小学校3年生の頃でした。Aと兄弟が三つ巴の喧嘩をしている時父がAを叩き怒鳴りつけました。するとAは怯えたように震え、宙を指してうわごとを言いました。異常に感じた両親は、その時の事を話し合ったり母に相談をしたそうです。神経内科で『軽いノイローゼ』と言われ、本人を放っておいてくださいと言われました。その後は母は忘れ物の注意などは必要最低限にして、できるだけ構わないように気をつけたそうです。

しかしAが成長していくと、Aのサインは『非行』と言う形で表れるようになります。その時も両親はAを叱り、説教しますが、Aの状況は全く良くなりませんでした。

私が両親の手記を読み感じたのは、Aは幼少期から何かしらのサインを出していたと言うことです。身体の痛みにしろ、精神的な異常にしろ、非行にしろ、Aにとって『辛い』『安心できない』『居心地が悪い』などと言ったストレスや鬱憤が蓄積し、表出したものではないかと感じています。しかしそれを大きな問題として捉え、関りを改善することができなかったことが、悲しい結末を引き起こす一因となったのだと思います。

Aがサインを出した時にどうすればよかったのか

この家庭ではAがサインを出すと(頻度は低いかもしれませんが)通院をさせることはできていました。通院先で医者が、不適切な養育や虐待を感じた場合、継続して通院するようにと指示するとか、児童相談所に通告するなどができたのではないかと思います。児童相談所は、虐待の対応だけではなく、子育ての困りごとや子どもの発達相談など様々なアプローチから対応をすることもできます。この家庭は、親子共に見守り続けられる必要があったと考えられます。

むすび

私の片親も、怒鳴ったり暴力を振るうのは日常的でした。未だにその特徴は変わらないので、医者に指摘されようが、誰に何と言われようが変わらない人は変わらないのだと思います。ですからその場合は家庭から子どもを引き離し子どもを安心安全な場所で生活させるか、外部の人間が見守り続ける必要があると感じました。

参考にさせていただいた本

・絶歌(元少年A著)

・「少年A」この子を産んで‥‥‥悔恨の手記(「少年A」の父母著)

・少年Aの深層心理(矢幡洋さん著)