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少年Aの子ども時代 の考察-臨床心理士 矢幡洋さんの考察を基に考える-

1997年に神戸で小学生が連続して襲われる事件があり、この事件により山下彩花さんと、土師(はせ)淳くんの尊い命が亡くなりました。その事件の犯人は、当時14歳であった少年『A』でした。Aは子どもの頃、祖母に全てを受け入れられ、愛されている事を感じていました。しかし祖母の死という絶望に直面し、そこから虫や動物を殺すようになりましたが、エスカレートして連続児童殺傷事件へと繋がりました。

今回は、Aが子ども時代どのような環境で育っていたのか、臨床心理士矢幡洋さんの解説を参考に考えていきたいです。読んだ本は、Aの両親が執筆した『「少年A」この子を生んで‥‥‥』と、矢幡洋さんの執筆した『少年Aの深層心理』です。

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母の攻撃的な姿勢

母の関りからは、Aを1人の人間として尊重しつつ、伸び伸びと生活できるような環境を提供してはいなかったことを感じました。

以前の記事で、子どもに注意をする時に相手の気持ちを配慮せずに指摘をすると、相手はメンツが潰れ、自尊心の低下に繋がる事を学びましたが、母の関りにより、Aは自尊心が下がり続けていたのではないかと考えられます。

www.kakkoii-kosodate.info

この記事では、子どもに指摘をする時には、『1人の人間として尊重すること』がとても大切であることも学びました。具体的には、子どもに指摘をする時にも大人に伝える時のように相手を尊重することで、指摘の仕方を気を付けることができるようになります。注意の仕方1つとっても、『対等』、『尊重』を意識した関りをすることができていたら、Aは他者を尊重する関りを学ぶことができたのかもしれません。

母の価値観

母の手記には例えば次のような、少年Aへの想いや、やり取りが記されていました。

・公園でおもちゃを取られた時に、モジモジしていたAに対し、覇気を持ってもらいたいと思い「取られたら取り返しなさい」と伝えた。

・Aに「あんたは本当にノンビー(のんびり)君やねぇ、ちょっとトロイのとちゃう」と何気なく言っていた。

・みんなと遊んで社交的になり、自分の気持ちをちゃんと言える子に育ってほしい。

・マンガ『拳児』の主人公のイメージが、私の理想の息子増と言いますか・・・

・小学校の頃から成績が悪く、5段階の通知表は2と3ばかり。小5の頃居残りで熱心に教えてくれる教師がいて4が2つ混ざった時に、「あんた、やればできるやん。できないのは、やらないからやで。もうちょっと続けてがんばってみよう」と伝える。やればできると暇さえあればそう言っていた。

母はAの良さも認めており、絵を描くのが上手だと本人に伝えたこともあったそうですが、褒めることの何倍も母が叱り否定する関わりが多く、Aはありのままの自分でいられる安心感は得られなかったのだと考えられます。

今の自分ではダメだと言う脅迫感や否定感情が、生きづらさへと繋がっていったことが想像できます。

むすび

Aの母には、Aにこんな子どもに育ってほしいと言う強い価値観があり、それが身体的・精神的虐待に繋がっていることが考えられました。自分の産んだ子どもは、社会に出ても困らないようにと言う気持ちを強く感じます。しかし気持ちがあっても、適切な子育ての方法が分からなければ、子どもは苦しいだけだと感じました。大人になると、仕事に子育てにと忙しいと思います。しかし、子どもを育てると言うことは、1人もしくはそれ以上の人の人生に大きな影響を与えると言うことですから、何が子どもにとって良い接し方かを、大人自身が学んだり考えたりして改善していく必要があると感じました。

私も、強い価値観に縛られて子どもにきつい口調で話してしまったり、抑えつけるような言い方をしてしまう時があります。今回Aの母の関わりに触れて、自分の行動や考え方も改めたり、見直していく必要があると感じました。

参考にさせていただいた本

・絶歌(元少年A著)

・「少年A」この子を産んで‥‥‥悔恨の手記(「少年A」の父母著)

・少年Aの深層心理(矢幡洋さん著)